「ああ。飛行機はパスポートがないと絶対に乗れない。個人で所有している飛行機だって同じことだ。そうすると・・・・・・?」


クイズでもするかのように、私を見た。


「え、えっと」


電車は日本の中だけだし。

日本の周りは・・・・・海、そう海だ。


「わかった。船?」


「そう。おそらく拉致された生徒たちは船にとじこめられているだろう。そのまま、他の荷物にまぎれさせて国外へ出るつもりだ」


「それって、大きな船?」


「いや、大型だと口止め料も必要だし、裏切りも多い。小型だと海外に出るのは難しい。おそらく乗組員4~5名程度の中型船だと警察は考えている」


「じゃあ、探さないと!」


走り出そうとする私の手を結城がつかむ。


「アホか。お前なんかが行ってなんの役にたつんだ」


「でも、でもっ!」


「捜査妨害で逮捕されるのがオチだ。大人しくここにいろ」


あきれたような顔で言う。


「だって・・・・・・」


「それに、さっきみたいにうかつにひとりで外に出るな。心配するだろうが」


そう言うと、そっぽを向いた。