カメラのレンズがそちらを向く前に、結城が大きな手でレンズを覆った。


「なにすんだよ!」


ガラの悪いカメラマンが声をあげる。

結城は、警察手帳を開いて見せると、

「こういうもん」

と言った。


「警察・・・・・・」


「そ。おまえら、学校から取材の許可とれてねぇだろうが」


とたんに青ざめるレポーター。


「あ、それは、その・・・・・・」


「おまえらの上司と話してもいいんだぞ。今から電話するか? ん?」


「おい、やばいぜ」


カメラマンが驚いた顔のまま後ずさった。


「わ、わかったわよ! 帰るわよ、帰ればいいんでしょ」


言い捨てるように言うと、リポーターはわざとらしく私をジロッとにらんでから、背を向けて足早に去って行った。


「大丈夫か?」

その背中を見ながら結城が声をかけてきた。


「あ、うん」


まだドキドキしてる。