「そう・・・・・・」


「俺、どうしていいのかわかんなくてさ。帰り道もいろんなことが頭をよぎってさ」


「うん」


だんだんとその表情は苦しそうになってゆく。
ゆがんだ顔のまま、頭をかきむしる浩太。


「頭、おかしくなりそうだった。だから、なんでかわかんねぇけど、琴葉に電話した」


「うんうん」


それでいいんだよ、と私は何度も大きくうなずいてみせた。

涙が、浩太の左目からこぼれる。

鼻をすすりながら、浩太は笑う。


「俺にさ、なにができるんだろう? 悠香は必死で助けを求めていると思う。けど、俺にはなんにもできねぇ。ここで泣いてるだけなんて、バカみたいだ」


「そんなことない、そんなことないよっ」


そう言う私の目からも涙が落ちた。


「コータ、刑事さんに頭さげたんでしょ。それってすごいことじゃん。きっと、刑事さんたち一生懸命探してくれるから」


「ああ・・・・・・そうだよな」


「そうだよ。コータが落ちこんでちゃ、どうしようもないじゃん。私がちゃんと捜査の進展具合を聞いて教えるから。だから、信じていようよ」


必死で涙をこらえ、浩太に伝える。