「・・・あいつさ」


ふと、思い出したように浩太が口を開いた。


「え?」


「江梨子のこと、めっちゃ心配してたんだ。だからこの間、また江梨子の家に行ったらしい」


「ええ、そうなの?」


浩太はようやく私を見ると、肩をすくめた。


「俺、やめとけって言ったんだぜ。どこで犯人が見ているかわからねぇからさ。でも、あいつ『同じクラスの友達として放っておけない』って言うんだ」


「そう・・・・・・。悠香らしいね」


「そういう正義感にあふれてるとこが好きなんだ」


少しほほ笑んで浩太は私を見た。


「うん、私も」


そう言ってうなずいた。


「刑事と知り合いなんだろ? さっきふたりに会った。ひとりはこないだ教室のぞいてたヤツだった」


「ああ、橘刑事だね」


結城たちも学校に来てたんだ・・・・・・。

なんだか、本当に事件なんだということを実感。


「俺、頭さげて頼んだんだ。『あいつを探してください』って。そしたらあのふたり、全力で捜査するって約束してくれた。こんな高校生に真剣な顔でさ」