1、

公園は小さな子供や赤ちゃんを連れたお母さんたちがいたるところにいた。

平日の昼間って、こんな風景なんだ。

こんなときじゃなければ、初夏の光をいっぱい浴びているこの景色も、キラキラして見えているはずなのに。

今は、にぎやかな声さえも悲しく感じる。

急ぎ足であたりを見回すと、ベンチのひとつに、浩太はいた。

あごを両手の上に乗せ、なにか考え込んでいるかのように遠くを見ていた。

あまりにも思いつめたような表情に、一瞬、声をかけるのをためらったけれど、呼び出したのは私のほう。


「お待たせ」


私は隣に座った。


「・・・・・・」


チラッと私を見た浩太が、また視線を前に戻す。


「大丈夫?」


「それ、さっきも聞いた」


「ああ、そうだね。ごめん」


なんて言っていいのかわからずに、私も景色に目をやった。


噴水の音が日差しの中で聞こえている。