「悠香が?」


「そう言ってた・・・・・・」


青ざめた顔で、友季子もつぶやくように言った。


「なに、いったい。どうなってんの?」


「おい、おまえら。さっさと入れ」


生徒指導の先生が威圧的に私たちに言う。


「はい。・・・琴葉、行こ」


支えられるようにして、私は校門をくぐった。

どうやって教室についたかはわからない。

気がつくと、席に腰かけていた。

ひょっとしたら悠香がいるような気がしたけれど、席には誰もいなかった。

周りのクラスメイトが、いつも悠香がいる場所を見てひそひそと話をしている。


「琴葉」


友季子がやってきて、私の顔をのぞきこんだ。


「大丈夫?」


「うん・・・・・・」


「心配だね」


短く言って、ため息をつく友季子。