*
ナ
ゾ
ル
*
おかしい、おかしい、と呟きながら、壁にはりついたあなたの頬を指先でなぞる。
絵の具のついた指は完全に乾ききっていて、乾燥した赤い絵の具がぽろぽろとこぼれ落ちた。
こんなに待ったのに、あなたは私に会いに来てくれない。
ということは、この魔法の使い方は間違っていたにちがいない。
私は絶望の吐息をはきだした。
また他のやり方を考えなければならない。
小瓶に残った魔法の粉は、絵の具に混ぜたせいで、あと半分ほどになってしまっていた。
これからはもう、無駄なことはできない。
どうすればあなたに会える?
考えたすえ、窓際のローテーブルに置いてあった観葉植物の鉢に粉を撒いてみた。
そうすればあなたの花が咲くかもしれない、そう思ったのだ。
でも、何日待ってもだめだった。
ぼんやりと窓際で待ち続ける私を、壁の中のあなたがじっと静かに見ていた。
ばかだね君は相変わらず、と呆れたように笑みを浮かべている気がした。
だって魔法の使い方なんて分からないんだもの、と私は溜め息をもらした。
ナ
ゾ
ル
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おかしい、おかしい、と呟きながら、壁にはりついたあなたの頬を指先でなぞる。
絵の具のついた指は完全に乾ききっていて、乾燥した赤い絵の具がぽろぽろとこぼれ落ちた。
こんなに待ったのに、あなたは私に会いに来てくれない。
ということは、この魔法の使い方は間違っていたにちがいない。
私は絶望の吐息をはきだした。
また他のやり方を考えなければならない。
小瓶に残った魔法の粉は、絵の具に混ぜたせいで、あと半分ほどになってしまっていた。
これからはもう、無駄なことはできない。
どうすればあなたに会える?
考えたすえ、窓際のローテーブルに置いてあった観葉植物の鉢に粉を撒いてみた。
そうすればあなたの花が咲くかもしれない、そう思ったのだ。
でも、何日待ってもだめだった。
ぼんやりと窓際で待ち続ける私を、壁の中のあなたがじっと静かに見ていた。
ばかだね君は相変わらず、と呆れたように笑みを浮かべている気がした。
だって魔法の使い方なんて分からないんだもの、と私は溜め息をもらした。