この粉の魔法を使えば、あなたに会える。


あなたが会いに来てくれる。



でも、かなしいことに、私は魔法の使い方なんか知らない。



だから私はずっと、この白い粉を見つめながら途方に暮れている。



私はゆらゆらと歩いてソファに再び腰かけた。


手のひらを開いて粉に見入る。



美しい白。


誰も足を踏み入れたことのない雪原のような、圧倒的な白。



この中に、世界がある。


この中に、私の全てがある。


この中に、あなたがいる。



さあ………どうすればあなたに会えるだろう。


この粉をどう使えば、あなたに会える魔法が光り出すのだろう。



しばらく考え込んでいた私は、ふとあることを思いついた。


それは、ある歌の歌詞に書かれていたこと。



そうか、そうすればこの魔法の粉を使ってあなたに会えるんだ。



私は手にのせていた粉を、テーブルの上に置いてあるガラスの小瓶に戻し入れ、財布を持って玄関から飛び出した。