*
エ
ガ
ク
*
細く開いた窓の隙間から、やわらかい春風が部屋に吹き込んでくる。
薄い水色のレースカーテンが風をはらんでふわりと膨らみ、ゆらゆらと揺れていた。
生ぬるい風は薄暗い部屋を一周して、私が身体をうずめているソファにやってくる。
手のひらにのせていた白い粉が、ふわっと風に舞いあがった。
私はあわてて手をとじる。
床に落ちた粒を撫でるようにして、ひとつ残らず集める。
手のひらにざらりと砂のような感触があった。
気だるい身体にむちうって立ち上がり、窓を閉める。
それから再び手を開き、白い粉をじいっと見つめる。
―――これは、魔法の粉。
たいせつな、たいせつな、魔法の粉。
ひとにとってはただのごみかもしれないけれど、私にとってはかけがえのないもの。
私の望みを叶えてくれる特別な魔法の粉なのだ。
だから、たったの一粒でさえ、無駄になんかできない。
エ
ガ
ク
*
細く開いた窓の隙間から、やわらかい春風が部屋に吹き込んでくる。
薄い水色のレースカーテンが風をはらんでふわりと膨らみ、ゆらゆらと揺れていた。
生ぬるい風は薄暗い部屋を一周して、私が身体をうずめているソファにやってくる。
手のひらにのせていた白い粉が、ふわっと風に舞いあがった。
私はあわてて手をとじる。
床に落ちた粒を撫でるようにして、ひとつ残らず集める。
手のひらにざらりと砂のような感触があった。
気だるい身体にむちうって立ち上がり、窓を閉める。
それから再び手を開き、白い粉をじいっと見つめる。
―――これは、魔法の粉。
たいせつな、たいせつな、魔法の粉。
ひとにとってはただのごみかもしれないけれど、私にとってはかけがえのないもの。
私の望みを叶えてくれる特別な魔法の粉なのだ。
だから、たったの一粒でさえ、無駄になんかできない。