一人きりの部屋で


机の前に座って



右手にもったカッターナイフの刃を

きりきりと繰り出して


左手の手首をじっと見つめる


刃をそっと当ててみる



ちっとも動かない右手


くだらない



だって、知っている

こんなんじゃ死ねない


死に損なった自殺志願者ほど

みっともない生き物はない


そんな自分は見られたくない


死ぬなら

きっぱりすっきり死にたい




13階のベランダに出て

身を乗り出して


下の駐車場をじっと見つめる


ちっとも動かない身体



くだらない


だって、知っている


飛び降りたあと

どれだけ醜い肉塊になりはてるか


そんなみっともない姿は

誰にも見られたくない



くだらない



あたしは

本当にくだらない人間だ