普通であるということが

どれほどの苦しみであるのか


知っている人はどれくらいだろう




それなりに努力すれば

それなりの成績がとれて


運動も苦手ではなくて


見た目も悪くはなくて



通知表には必ず


明朗快活

正義感がある

社交性がある


などと書かれて



いじめられたこともなく

いじめたこともなく

まわりにもいじめはなくて


友達は苦労しなくてもできて

休み時間には人が集まってきて



友人関係は良好で


ときどき男の子から告白されて

付き合って


映画を観に行ったり

ボーリングをしたり


これといった理由も波乱もなく

なんとなく自然消滅して



そう、つまり

あたしは恵まれているのだ



『普通』に恵まれているのだ



私が何一つ望まなくても


私のまわりには

問題など何一つ起こらない



普通


吐きたくなるほど

普通に生きるあたし