唖然とするあたしの横で

児島は

蹴り飛ばした自転車の車輪を

何度も踏みつけ

不格好に歪めさせて


極めつけに

サドルを外して

脇の小道の奥のほうの

看板の裏に隠した



それらを終えると

満足げににやにや笑って


再び何事もなかったかのように

平然と歩き出した




あたしは児島を追いながら

ひっそりと衝撃を受けていた


なんてやつだろう



とんでもなく

ひねくれた考えの持ち主



これほどまでに

感情と言葉と行動が

単純に直結している人間を


あたしは見たことがなかった



おかしい


普通じゃない


ぜんぜん『普通』じゃない



みんなとさほど変わらない外見


それなのに中身は

ひどく『普通』じゃない