錆びついた手すりを

両手でつかむ


鉄くさい匂い



前屈みになってもたれる


下を覗いた



荒れ放題の花壇

今は使われていない駐輪場


地上は

思ったよりも遠くない



吸い込まれるように見ていた

そのとき



―――おっ、飛び降り?



笑いをふくんだ軽い声が

背後から聞こえてきた



あたしはすぐに振り向く



そこには

一人の男子が立っていた



両手をポケットに突っ込んで

にやにやしながらあたしを見ている



同じクラスの児島だった


しゃべったことはない



いつも遅刻ぎりぎりで登校して

部活にも入らずに

チャイムと同時に学校を出る


休み時間はいつも

ヘッドホンで音楽を聴いている



一匹狼気取りかと思っていたら


クラスの男子から話しかけられて

普通に楽しげにしゃべっているのを

何度か見たことがあった