一つ目のバンドは、最近よく名前を聞くようになったポップロックバンドだ。

雑誌やラジオに取り上げられることも多くなってきたので、観客たちの盛り上がりもなかなかだった。


二つ目のバンドもかなり人を集めている。



でも、やっぱり、最近の若いバンドという印象を拭えない。


彼らはきっと、バンドブームに乗っかって多少は売れるかもしれないけれど、

多分、すぐに忘れられてしまう。


だって、新しさがないから。

ノリのいい曲ではあるけど、どれも、いつかどこかで聴いたことがあるようなメロディばかり。


それではだめだ。


本当の意味で売れて、たくさんの人に長く聴かれていく音楽は、こういう二番煎じではだめなんだ。



本物っていうのは―――



ステージが暗転して、二つ目のバンドが片付けを始めた。


観客たちの輪が綻びて、疲れた顔で後ろへと下がっていく。

バーへドリンクを買いに行く人も多い。


Dizzinessは、今日の対バンの中ではたぶん一番知名度が低いから、この反応は仕方がない。