「でもさ、気になったから検索してみたの、Dizziness」


「へえ、どうだった?」


「めっちゃかっこよかった! メンバーみんな超イケメンだよ」


「マジで? じゃあ絶対見よ」


「特にさあ、ボーカルの人、やばいよ! 見たことないくらいキレイなの!」


「え? 女の人なの?」


「違う違う、男の人だけどー、そんなの関係ないくらいキレイでかっこいいの。だからさー、あたしめっちゃ楽しみでー」



そう。

こういうふうに、見た目の評価が優先されるのも仕方がない。



でも―――ライブを見たら、きっと………。



「あ、入場はじまったよ」


「よし、気合い入れて最前列行くよ!」


「がんばろう!」



たくさんの観客たちが、チケットを見せて、ドリンク券を買って、なだれ込むように入り口に殺到する。


私もその波に乗った。



前に行きすぎると音のバランスが悪くなるから、私はスピーカーの位置を確かめて、一番いい場所に陣取る。


ここなら人波に揉まれることもないし、ステージ全体が見える。

客たちの反応も見られる。