………でも。


こんなの、いつまでも続かない。


続けていいわけない。



最近、ときどき、そういうふうに思うことがあった。



そろそろ潮時かな。


そろそろ諦めなきゃいけないかな。


リヒトを自分のものにしたいだなんて、

リヒトに自分だけを見て欲しいだなんて、


そんな願いが叶うわけがない。



自分でも、本当にそれを望んでいるのかどうかも分からない。



リヒトが他の女の子と会うことを考えたら、胸をかきむしりたいくらいつらくなる。


どうして私じゃだめなの、と詰め寄りたくなる。


でも、嫌われるのが怖いから、決してそんなことはできない。



気持ちを吐き出す先がどこにもなくて、苦しみのループの中から抜け出せない。



「………つらいなぁ」



リヒトから逃げたい。


あの悪魔みたいな男から、解放されたい。



そんなこと、もう何年も前から思っている。


それなのに私は、リヒトに呼ばれると、こうしていそいそとやってくる。


帰れと言われれば帰る。



ーーーこんな関係は異常だ。


終わりが見えなくて、息もできない気持ちになる。



だから、そろそろ断ち切らないといけないのかもしれない。


リヒトへの執着を。