「クリスマスのお返しに、今日は一日、俺とデートしてください」


「デート……?」



意外すぎる言葉に、私は足を止めてぽかんと口を開いた。



そういえば、私は今まで、デートという言葉を使ったことがなかった。


耳慣れないからか、その響きが恥ずかしくて、顔が赤くなっているのではないかと不安になる。



「ねえ、レイラさん。リヒトさんとはもう別れたんですよね。もう会ってないんでしょう?」



私と同じように足を止めたルイが、そっと顔を覗きこんできた。



「うん、別れたよ………あれから一回も会ってないし、連絡もしてない」


「よかった」



ルイがほっとしたように息をつく。



「じゃあ、レイラさんは今、フリーってことですよね。それなら、デートに誘ってもいいでしょ?」



私は言葉に詰まってうつ向いた。



「だめですか?」



ルイが眉を下げて残念そうに言うので、私は思わず「だめではないけど………」と答えてしまう。



「じゃあ、決まりですね。デートしましょう」



ルイがにっこりと笑って、私の手をつかんで歩き出した。