「それに、もう大丈夫だから。歩けるから………」


「そうですか?」


「ゆっくりなら」



呟くと、ルイが頷いて立ち上がった。


それから、手を引かれて駅に向かう。



「―――どうして、こんなところにいるの?」



私の手を引きながらゆったりとした足どりで隣を歩くルイを見上げ、訊ねる。


ルイがちらりと目を向けて、少し口ごもってから答えた。



「………リヒトさんから連絡が来たんです」



私は足を止め、目を見開いてルイを凝視する。


驚きのあまり、声が出せない。



「もしかしたらレイラさんがこのあたりにいるかもしれないから、探してみてくれって。見つけたら連れて帰れって」


「…………え」



なんとか喉から絞り出した声も、言葉にはならなかった。



なんで?


どうしてリヒトがルイに連絡するの?


二人はどこでつながってたの?



私の戸惑いが伝わったのか、ルイが説明してくれる。



「昨日、っていうか、もう一昨日か。バイト帰りにレイラさんと一緒にいたとき、リヒトさんに会いましたよね。

あの後、レイラさんが帰ってから、駅で突然、リヒトさんに呼び止められたんです」


「え………な、んで?」


「俺もびっくりしました」



ルイが困ったように微笑んだ。