「あ、そう………」



素っ気ない返しになってしまった。


だって、恥ずかしくて、どうすればいいかわからない。



ルイは驚くほど素直に、気持ちを言葉にすることができるらしい。


なんの屈託も、照れもなく。


私からすれば信じられないくらいに、素直にまっすぐに。



私はいつも、自分の気持ちをうまく言葉にできない。


思いを素直に口に出すのは、私にとってはひどく難しいことだ。



首に巻かれたマフラーの中に顔を埋ずめる。


なんて、あたたかいんだろう………。




「………ルイは、すごいね」



ほとんど無意識にぽつりと呟くと、ルイが首を傾げた。



「え? すごい? 俺が?」


「うん。すごいよ」


「そうですか?」


「うん」


「俺、もしかして褒められてる?」



ふっと笑いがもれた。



「うん、褒めてるよ。尊敬してる」


「ええ……っ、どうしたんですか、レイラさん」



ルイが困ったように声をあげたので、私は目をあげてルイを見上げた。


頬がほんのりと紅くなっているのが分かる。



照れているのかな。


かわいい………。



またそう思ってしまった自分に驚く。


そんな自分の気持ちから目を逸らそうと、私は話題と口調を変えた。



「ルイ、お返しは何がいい?」