「―――レイラさん」



にこりと笑って声をかけてくる。


でも、目が笑っていなかった。


いつもにこにこと屈託のない笑顔を浮かべているルイにしては珍しい。



「ん？ なに？」


「ミサトさんが呼んでます。発注のことで訊きたいことがあるとか」


「あ、そうなの。ありがとう。ちょっと行ってくるね」



私は林田さんに会釈をしてから、ミサトさんのいるスタッフルームに向かった。


なにか発注ミスがあったかな……そんなことを考えて不安になりつつ、ノックをしてドアを開く。



「あれ？ レイラ、どうしたの？ なんか足りなくなった？」



室内に入った途端、パソコンを操作していたミサトさんが目を丸くしてそんなことを言ったので、私も目を見開いた。



「ミサトさんが私を呼んでるって………」


「ん？ 呼んでないよ？」



私は何も言えずにミサトさんをまじまじと見つめる。


当たり前だけど、嘘をついているようでも、からかっているようでもない。



「誰に聞いたの？」とミサトさんが訊ねてくるので、私は慌てて首を横に振った。



「あ、いえ、なんでもありません」


「そ？ ならいいけど」



ミサトさんは頷いて、再びパソコンの画面に向き直った。