「ほら、ぼんやりすんな。ついてくぞ」

気づくと、紗江と男性は並んで歩き出していた。

私と涼との間隔よりも、より近い距離で談笑している。

そんな後ろ姿をさらに写真にとりながら、涼も歩く。


「なんだか、悲しいな」

ぽつりと口からこぼれた。

「は?」

「どうして人は浮気をするの? いちばん好きな人のそばにいるだけじゃダメなの?」


紗江が笑うたび、私は苦しくなる。


太一の顔が浮かんで、そのたび泣きたくなる。



だけど、涼はなにも言わずに後ろをついてゆく。