下駄箱の前でもう10分以上涼を待っている。


「遅いな……」


さっき、涼は「美術部の部室を見て来る」と言って小走りで行ってしまった。


空が怖いくらい真っ赤なのがここからでも見えている。


廊下の奥を見ていると、

「お、未希じゃん」

と、よく知っている声が。

「なんだ、琥太郎か」

「なんだ、はねぇだろ。どうしたんだ? 補講でも受けてたのか?」

補講なんてないことを知りながら言ってくるんだから。

琥太郎は、バスケのユニフォーム姿。

練習直後なのか、汗がひっきりなしに流れている。