私も言葉を発せられなくなっていた。

だって、最初の依頼がなんだか重い。

まぁ、『お助け倶楽部』って名前がつくくらいだから、自分ではどうしようもない悩みを持ち寄るわけで、重いのは当たり前といえばそうなのだけど。

困るのは、私がその『恋愛ジャンル』の経験値が圧倒的に少ないこと。


「で、太一はどうしたいわけ?」

涼が軽い口調でそう尋ねた。

「ぼ、僕はまだ彼女が好きです。だけど、たしかめる勇気もなくて」

「勘違いならいいな、ってこと?」

「はい。彼女が浮気してるなんて、とうてい信じられないんです。だから、それを調べてほしいんです。そして、証拠を見せてほしいんです!」

そう言い切ると、太一はがっくりとうなだれてしまった。