向かっていちばん左には男子がひとり座っていたから、私と萌絵は真ん中のベンチに腰を降ろした。


風が気持ちいいな。


なんだかほっこりする時間。


秋深し……。


このあとなんだっけ?


「そうそう未希、これ見てよ。新作なんだ」

萌絵がポケットから取り出したのは、猫のキーホルダー。

異様にリアルな猫がひれ伏している。

「なにこれ?」

「土下座ねこ」

「ど、土下座?」