ああ、だから涼はいつもベンチのはしっこに座っていたのか。


あれは、依頼者を待っていたんだ……。


ってことは、あの一生懸命涼に話しかけていた子も、泣いていた子も、みんな依頼者だったんだ。


それを私は、勝手に勘違いして……。


心臓が急に激しく脈を刻みだす。

バクバクと動く胸で、息が苦しくなる。

涼が遊び人だなんて勝手に決めつけた自分がバカみたい。


「座れって」

手を引かれて、すとんと素直に腰を落とした。