「うん」

「でも、こういうのって自分から見つけに行くのもヘンじゃない? きっとある日偶然にでも発見すると思うんだよね」

「そんな、落とし物じゃないんだからさ……」

あきれたように言う萌絵も、やっとあきらめてくれたみたい。


グラウンドでは男子がサッカーをしている。


楽しげに声をあげて走る彼らを見ながら、いつもより長く歩く私と萌絵。


「疲れちゃった」

そう萌絵が言いながら、グラウンドのはしっこにあるベンチを指さした。

あそこに座ろう、ということなのだろう。


ベンチは全部で3つ。


グラウンドに向けて並んでいる。