「へぇ……」

そう言いかけて、ハッと気づいた私は涼の顔を見た。


あのベンチ……。


目が合う。

「あのベンチ……って、私がいたこと知ってたの?」

「当然だろ。最近よく隣のベンチに来てたよな」

「うわぁ」

思わず立ちあがる。


顔が一気に暑くなってゆく。


「はじめは依頼者かと思ったけど、どうも違ったみたいだしな」

なんでもないようにそう言う。


気づいてたんだ……。