「あなた、お名前は?」

亜実が目を細めて私を見た。


こんなに近くで生徒会長である河原崎亜実を見るのははじめて。

顔が小さくて、三つ編みのひとつひとつにキューティクルの輪が輝いている。

まつげも長いし、くちびるだって光って見えた。


世の中は不公平。


お金持ちの上に、こんなに美人だなんて。


「1年5組の柴田未希です」

劣等感を感じながら答えた私の手を、スッと亜実は両手で包んだ。

「入部してくれるんですね。うれしいわ」

「え? 私はまだ……」