「どういたしまして」

彼がそうしているように、前を向いた。


秋の空は高く、とんぼが円を描いて飛んでいる。


今、同じ景色を見ている。


それが私の幸せならば、こういうのも悪くない。


そう、思える私がここにいる。


後ろから誰かの足音が近づいてくる。

そして、ためらったような声が聞こえた。


「あの、『お助け倶楽部』ってここで合っていますか?」


その声に、私は笑顔で振り向いた。
















                完