「相馬さんは、『料理部で作ったから』と肉じゃがをくれたんだ。まるで青空のような笑顔で」

覆った手をおろした板垣先生はなつかしむようにほほえんでいた。

「それがまたおいしくってね。なぜかわからないけど、泣いて食べたんだ。誰もいない自分の部屋で、泣きながらね。それからだよ、僕はヒカリしか見えなくなってしまったんだ」

「でも、先生と生徒だろ」

涼の声に板垣先生が表情を変えた。

「そんなのどうでもいいじゃないか! 愛し合っているふたりが一緒になってなにが悪いんだ!」


ズサッ


見ると、ヒカリが後ずさりをしたところだった。

「お姉ちゃん」

大地がそばに行くと、ハッとしたようにその体を抱きしめる。