「ごめんなさい……。誰にも言うな、って言われて……」

うつむくヒカリに、ハッとしたように元弥は肩に置いた手を離した。

「そっか……」

手の行き場をなくし、ポケットにつっこむとうつむく。

「元弥さん、ひとつ質問させてください」

そう尋ねた亜実に、元弥が声には出さずにゆっくり顔をあげた。

「先日の話ですが、腕を骨折されましたよね? あれは本当に転んだのですか?」

目に見えて、元弥の表情が変わった。

なんて答えていいのかわからないような顔をして、

「それは……」

と、言いよどんでいる。

「大事なことなんです。本当のことを言ってください」