ヘンな緊張感が支配する部屋で、みんな言葉少なげに時計を見ている。


トントン


心臓が音を立てた私は、両手で口を押えた。

声に出ちゃいそう。

「はい、どうぞ」

さっきと同じように、のんびりした口調で亜実が答えると扉はすぐに開いた。

「ウソ……」

ヒカリのつぶやく声が耳に届く中、その人物を見た。


憮然とした顔で立っているのは___元弥だった。


「お入りください」

亜実の声にも、元弥はふてくされたようにその場に立っていたが、やがて鼻から息を吐くと部屋に入ってきた。