夜の学校は、昼の顔とはまったく違った。

校舎の明かりが暗闇のなかで不気味に光っている。

「宿直の先生は、少しお出かけしてもらっています」

玄関のドアを開けながら亜実が言う。

きっと、『河原崎亜美だからできること』パワーを使ったのだろう。


ギキッ

と、いう音さえもかなり怖い。

亜実のあとに涼と私、そしてヒカリがついてくる。

「頭の痛みは大丈夫ですか?」

ドアを押さえて、ヒカリを中に招きいれる。

「はい。もう、すっかり。私って意外と石頭みたいです」

にっこりと笑うヒカリの表情は、これから起こることへの期待なのかほほが上気している。