「警察に言ったほうが良いように思います」

どこで手に入れたのか、亜実が高級そうなカップに紅茶を注いでいる。

「ええ……」

ためらうように言ったヒカリは、やがて静かに首を横に振った。

「でも、やめておきます。犯人を余計怒らせるかもしれないし」

「そんなこと言っている場合じゃねぇだろ。殺されかけたんだぜ?」

たしかに危機一髪だったかも。

犯人はヒカリを殴っておいて、あそこに閉じ込めた。


あの時、見つけてなければと思うと、ゾッとする……。


だけど、ヒカリは迷うことなく、

「大丈夫です」

と、まっすぐに涼を見た。