なんで教えなきゃいけないんだ、と反発したい気持ちはあったけど、

「……柴田。柴田未希です」

と、気づけば素直に言っていた。


「未希……。いい名前だな。俺は2年3組の澤木涼」

「さわき……」

「じゃ、行こうか」

澤木涼は、名前の通り涼しげな顔をしてまとめたカードを手渡した。

「は?」

「ほら、荷物持って」

「え?」

意味のわからない私に、涼は横に置いてあったカバンをひょいと手に取ると、

「行くぞ」

と、歩き出す。