2枚目の『椅子に座った女の人』のカードは……。

「なんでもない。行こう、未希」

思考は、涼の声に中断された。

さっさと歩き出す涼の後を追う。

曲がり角で振り向くと、まだそこに元弥はいた。

その顔は、なにかを考えこんでいる表情。


「涼さん、未希さん」

今度は亜実が向こうから来るのが見えた。

こんなときなのに、優雅にゆっくり歩いている。

まるで王女様が散歩でもしているよう。

「いませんね」

亜実が言うと、涼が、

「クソッ。なんでなんだよ」

と、イライラと声をあげた。