「ん?」

「失礼なことお伺いしますけど、先生のおうちって、最近赤ちゃんが生まれましたか?」

さっきの占いカードのことを聞いてみたかった。

「ええ? なんで知ってるの?」

急に板垣先生は顔中の筋肉がゆるんだかのように、うれしそうな顔になる。


……当たってたんだ。


「失礼します」

軽く頭をさげた私も、すぐに涼の後を追った。

曲がり角を曲がると、ようやく追いつく。


「……ダメだな、俺。動揺してるわ」

涼の背中を見ながら、彼の言葉が耳に流れる。


こんな弱音を吐くなんて、はじめてのこと。