「板垣先生!」

「いや、暑いねぇ」

あいかわらず汗を拭きながら、板垣はのんびりした口調で言った。

「ヒカリ見なかったです?」

その涼の口調はあまりに厳しく、真剣で怖かった。

「え? 相馬さん?」

ぽかんと言う板垣に、涼はようやく我に返ったのか、

「なんでもないです。失礼します」

と、短く言ってから通り過ぎる。


ふと……。


「あ、あの板垣先生」