それは涼の表情だった。

まっすぐに私を見ているその顔に、不安と緊張が浮かんでいた。

「いないんだ」

「え?」

「ヒカリがいない」

まばたきもせずに言う涼の顔が、ことの重大さを物語っている。

「もう帰ったってこと?」

「いや。まだ下駄箱には外靴があった。校内にいるはずなんだ。だけど、どこにもいない」

「そんな……」

おそるおそる立ちあがると、涼は、

「今、亜実にも探してもらってる。手伝ってくれ」

と、くやしそうに顔をしかめた。