「材料の切り方、調理器具の扱い方、盛り付け方……全部が丁寧なのよね」

長谷川先生がヒカリを見る表情は、まるでお母さんのよう。

優しさにあふれている。


鍋の中でコンソメスープが湯気をたてだした。

食欲をそそる香りが広がってゆく。

ヒカリはそこへ、小ぶりのロールキャベツをひとつずつ丁寧に落としてゆく。

その鍋を見ながら、亜実は「私、ロールキャベツって好きなんです」

なつかしむような目をした。

「じゃあ、ぜひ召しあがってください」

長谷川先生がそう言うと、ヒカリも目を合わせてうなずく。

「それは光栄です」