私がふりかえるより早く、後ろから手が伸びてカードが1枚取りあげられる。

「へぇ、【知らない世界】かぁ」

ギョッとして見あげた私に飛びこんできたのは、あのベンチに座っている男子の顔だった。


「ひゃあ」


間の抜けた声を出して、意志とは反対にカードを奪いかえす。

彼は、悪びれたそぶりも見せずに、
「どこでこのカードを?」
と、机に並んだカードを指さした。

あわててそれを手元にたぐりよせると、見えないように体で隠した。

「お、おばあちゃんからもらったんです!」

「へぇ……」