「密着してどうするんですかー?」

男子生徒のひとりが、手を挙げて質問をした。

「コンテストに出すそうだ」

そう言って先生が私たちに視線を送るので、私は1歩前に出る。

さっき何度も練習した設定について話をすればいいだけ。

落ち着くのよ、私!

「み、みなさん。本当に突然すみません」

そこで言葉を切る。

だって、一斉に視線が私に向いている。


……どうしよう。


思わず涼に助けをもとめようと横を見るが、涼はにこやかな顔を崩そうともしない。