「そいつの名前は?」

まるで刑事が取り調べしているみたい。

もう少し涼もこういうとき、やさしくできればいいのにな。

でもヒカリは気にもしていないようで、

「佐野元弥」

と、答えた。

「そのとき、周りには誰もいなかった?」

ヒカリは少し頭を横にかたむけて考えている様子だったけど、

「覚えてない」

と、がっかりしたように言った。

「そっか」

あっさりとそう言って、次のメールに移ろうとした涼を、ヒカリが止めた。