「あ、涼先輩~」

現金なもので萌絵は、すぐにくねくね体を揺らせて、いつものかわいらしい声で出迎える。

「……びっくりした」


まだ胸がハンパなく鼓動を早めている。


全然涼が後ろにいることに気づかなかった……。


「未希、こういう話をするときはな、ベンチとかはまずい。後ろにこうやって隠れてると話は全部つつ抜けになるからな」

腕を組んでお説教タイムがはじまろうとしている。

「うん……」

「ま、今後気をつけるように。あ、俺、澤木涼。よろしくな。涼って呼んでくれればいいから」

後半の言葉は、呆然としているヒカリに対して。