いや、歩いているのはいいんだけど、おかしいのは、どう見てもランドセルを背負っているから。

「こっちに向かってねぇか?」

「うん……。そう見えるね……」

黒いランドセルを背負った男の子が、どんどん早足で近づいてくる。


小学校2年とか3年くらいに見えるんですけど……。


男の子は迷いなく私たちの座っているベンチまで来ると、

「おじゃまします」

と、声変わりのしていない高い声で言ってから真ん中によじ登るようにして腰かけた。