好きになればなるほどに、全然涼のこと知らないんだなぁ、って実感。

涼は自分からはプライベートなことは話してくれないし、聞くのもおかしいし……。


モヤモヤしているこの気持ち、いつか苦しくなっちゃうのかな……。


「ダメダメ」

マイナス思考になっててどうすんのよ。

涼のそばにこうしていられるだけで幸せなんだから。

自分に言い聞かせていると、隣の涼が、

「おい、アレなんだ?」

と、前方を指さした。

「ん?」

見ると、グラウンドの外周を誰か歩いている。