息をするのも忘れて誰もが上を見ていた。

「そうかそうか」

そう言って笑う校長先生の目には涙が浮かんでいるようだった。

私の目にも、こぼれる涙。




___楓さん?




想いが伝わったんだね。


うれしくて楓さんも泣いているんだね。


長い長い片想いが、成就されたんだね。


「良かった。良かったねぇ」



あふれ続ける涙はそのままに、私は紅葉の葉をいつまでも見ていた。