「え……でも、そういうふうに言ってたよ?」

「やっぱ、あいつ幽霊だったのか?」

ぶるっと体をふるわせる涼。

必死で思い出す。


楓が言っていたこと……。


「ああ、そう言えば。楓さんはここで好きな人をずっと見てた、って言ってました」

「好きな人か……」

校長先生がつぶやいた。

「その人が昔この木から落ちたんですって。でもその人、絶対に『木から落ちた』って言わなかったんですって」


それを聞いていた校長先生の表情がみるみる変わってゆく。