「えええええ」

「どの生徒に聞いても、恩田楓なんて知らない、って言うんだ」


涼の言葉を理解するのに、時間がかかった。


「そ、そんなことあるわけが……。だって、おんなじ制服着てたよ?」

「だけど、いないものはいねぇんだよ」

そう涼が言った時、廊下の向こうから、

「おや、君たち」

と、声がかかった。

歩いて来たのは、校長の兼子。

にこやかに手を挙げてる。

私たちは、

「校長先生~」

と、駆け寄ったのだった。