「木のために?」

信じられない、と言った顔で河合は言った。

「木だけじゃない」

雅紀が河合の手を持って立ちあがらせる。

「僕たちも救われるんだよ」

「雅紀……」

河合は手のひらでゴシゴシと涙をぬぐうと、

「わかりました。よろしくお願い致します」

と、深く頭をさげたのだった。

「よかったね」

そう楓に言うと、その目は涙があふれていた。